2026年7月30日

かかりつけ医が伝えたい、本当に大切な熱中症予防
暑い日が続くと、ニュースでは「熱中症警戒アラート」が連日のように流れます。
診察室でも、こんなお話をよく伺います。
「ずっと家にいたから、大丈夫だと思っていました」
「のども渇いていなかったし、エアコンをつけるほどではないと思って……」
しかし、熱中症は、屋外で激しい運動をした時だけに起こるものではありません。
家の中で、普段どおりに過ごしている時にも起こります。
そして、熱中症で特に注意したいのは、「まだ大丈夫」と思っている間に、少しずつ体に負担がたまっていくことです。
今回は、かかりつけ医の立場から、今日から実践できる熱中症予防のポイントをお伝えします。
熱中症は「暑さ」だけの問題ではありません
私たちの体は、汗をかいたり、皮膚の血管を広げたりして、体の中にたまった熱を外へ逃がしています。
しかし、”気温や湿度が高い”、”風が少ない”、”体調が悪い”、”寝不足が続いている”、”暑さにまだ体が慣れていない”
といった条件が重なると、体の熱を逃がす働きが追いつかなくなります。
特に湿度が高いと、汗をかいても蒸発しにくく、体を冷やす効果が弱くなります。
「外に出ていないから大丈夫」
「運動していないから大丈夫」
とは限りません。
部屋の温度や湿度だけでなく、その日の体調にも目を向けることが、熱中症予防の第一歩です。
「のどが渇いていない」から、水分が足りているとは限りません
のどの渇きは、水分不足のサインの一つです。しかし、高齢になると、暑さやのどの渇きを感じにくくなることがあります。そのため、「のどが渇いていないから、水は要らない」と判断するのは危険です。
おすすめは、のどの渇きではなく、生活の区切りに合わせて水分をとることです。
例えば、
・朝、起きた時
・家事や外出の前後
・食事の時
・入浴の前後
・就寝前
など、「この時に飲む」と決めておくと忘れにくくなります。一度にたくさん飲む必要はありません。少量ずつ、こまめに補給しましょう。
大量に汗をかいた時は、「水分+塩分」を考えましょう
普段の室内生活や、汗をほとんどかいていない時は、水やお茶で十分です。通常どおり食事をとれている場合は、熱中症予防のために、特別に塩分を増やす必要はありません。
一方で、”炎天下で長時間作業した”、”スポーツなどで大量に汗をかいた”、”暑さで食事が十分にとれていない”
といった場合は、水分だけでなく、電解質(ナトリウムなど)の補給も必要になることがあります。
汗をかくと、水分とともに塩分(ナトリウム)も失われます。
その状態で水だけを大量に飲むと、血液中のナトリウム濃度が下がり、低ナトリウム血症(水中毒)を起こすことがあります。
体の水分と塩分のバランスが崩れると、頭痛、吐き気、だるさなどが現れ、重症の場合には意識障害やけいれんにつながることもあります。
ただし、普段の生活で適量の水やお茶を飲むことまで心配する必要はありません。
大切なのは、大量に汗をかいた時に、水だけを一度に大量に飲むのではなく、失った水分と電解質を状況に応じて補うことです。
そのような時は、経口補水液やスポーツドリンクを利用する方法があります。
ただし、スポーツドリンクには糖分を多く含む製品もあります。普段の水分補給として習慣的に飲むのではなく、汗を多くかいた時などに使い分けることが大切です。
また、高血圧、心臓病、腎臓病などで水分や塩分の制限を受けている方は、自己判断で飲み方を変えず、主治医にご相談ください。
「エアコンが苦手」な方へ
「エアコンの風に当たると体がだるくなる」「昔は扇風機だけで過ごせた」
そう感じる方もいらっしゃると思います。
しかし、近年の夏の暑さは、昔とは大きく変わっています。エアコンはぜいたく品ではありません。
夏の健康を守るための、大切な道具です。
冷たい風が苦手な方は、次の工夫を試してみてください。
風向きを上向きにする
扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
除湿機能を活用する
直接風が体に当たらないようにする
また、「エアコンの設定温度を28℃にする」のではなく、実際の室温を確認することが大切です。
室温28℃以下を一つの目安とし、暑さを感じる時は無理をせず、設定温度を調整しましょう。
「自分では暑くない」と感じていても、室温が上がっていることがあります。
温度計や湿度計を見て、早めにエアコンを使う習慣をつけましょう。
こんな症状は、熱中症のサインかもしれません
次のような症状があれば、熱中症を疑ってください。
・めまい、立ちくらみ
・頭痛
・吐き気
・強いだるさ
・足がつる、筋肉がけいれんする
・いつもよりぼんやりする
・ふらついて、まっすぐ歩きにくい
症状が出たら、まずは、
1.涼しい場所へ移動する
2.衣服をゆるめる
3.首、わきの下、足の付け根などを冷やす
4.自分で飲める場合は、水分を補給する
ようにしてください。
ただし、
・呼びかけへの反応がおかしい
・意識がはっきりしない
・自力で水分を飲めない
・けいれんがある
・まっすぐ歩けない
場合は、ためらわず119番で救急車を呼んでください。
また、涼しい場所で休み、体を冷やして水分をとっても症状が改善しない場合は、医療機関への相談・受診が必要です。
地域のかかりつけ医として
熱中症は、正しい知識と早めの対策によって、発症するリスクを大きく減らすことができます。
大切なのは、
「まだ大丈夫」と我慢しないこと。
そして、
「のどが渇いていないから大丈夫」
「家の中だから大丈夫」
「少しくらい暑くても大丈夫」
と思い込まないことです。
「これくらいで相談してもいいのかな?」
「心臓の薬を飲んでいるけれど、水分はどのくらいとればいい?」
「スポーツドリンクを飲んでも大丈夫?」
そんな疑問があれば、どうぞお気軽に豊﨑医院へご相談ください。
この夏も、地域の皆さまが元気に、そして安全に過ごせるよう、私たちがサポートしていきます。
