2026年9月27日

季節の変わり目や感染症が流行する時期になると、「予防接種を受けたいけれど、どんな種類があるの?」「本当に打つ意味はあるの?」といったご質問を多くいただきます。
特に秋から冬にかけては、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症対策としてワクチン接種のシーズンが始まります。今回は、ワクチンの仕組みや種類、おすすめの時期、そして当院が大切にしている方針をわかりやすく解説します。
1. ワクチンの本当の役割とは?
「ワクチンを打ったのに、感染してしまった」というお声を耳にすることがあります。
ここで大切なのは、「ワクチンは、病気への完全な“壁”ではなく、重症化を防ぐための盾である」という点です。
多くのワクチンは、ウイルスや細菌が体に入り込んでくるのを完全に「ゼロ」にする(感染を100%防ぐ)わけではありません。しかし、あらかじめ免疫のトレーニングをしておくことで、万が一感染してしまっても「発熱や咳などの症状が軽く済む」「肺炎や入院、重症化を防ぐ」という非常に大きな効果を発揮します。ご自身のお体を守るために、とても意味のある医療行為です。
2. ワクチンの「種類」を知る
一言でワクチンといっても、中身の仕組みによっていくつかの種類に分かれています。代表的なものをいくつかご紹介します。
・生ワクチン
毒性を弱めた生きたウイルスや細菌を使います。体内で少し増えてから免疫を作るため、1〜2回の接種でしっかりとした長続きする免疫がつきやすいのが特徴です。(例:MR麻疹風疹ワクチンなど)
・不活化ワクチン
ウイルスや細菌の感染する能力をなくし、免疫をつけるのに必要な成分だけを取り出して作ったものです。生ワクチンに比べると1回あたりの免疫がやや低いため、数回の接種が必要なことが多いです。(例:インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンなど)
・mRNAワクチン
ウイルスの設計図(RNAの一部)を包んだ小さなカプセルです。体内に入ると、その設計図を元に免疫の目印が作られ、ウイルスに対する抵抗力を備えます。新型コロナウイルス感染症などの対策で広く使われています。
3. 注射のやり方(皮下注射と筋肉注射)について
ワクチンによって、あるいは国や製品ごとの「効果や安全性のデータ(承認されたエビデンス)」に基づいて、注射のやり方が異なります。
・皮下注射(ひかちゅうしゃ):
皮膚のすぐ下の脂肪層に注射する方法です。日本では、長年インフルエンザワクチンをはじめとする多くの不活化ワクチンがこの皮下注射で行われており、私たちにとっても馴染み深い方法です。
・筋肉注射(きんにくちゅうしゃ):
筋肉の奥深くまで注射する方法です。海外では多くのワクチンで標準とされており、日本でも新型コロナウイルスワクチンやHPVワクチンなどで採用されています。それぞれ、そのワクチンが最も安全かつ効果的に働くよう、エビデンスに基づいた方法で実施されています。
「筋肉注射は痛そう」とご心配される方もいらっしゃいますが、適切な手技で行えば皮下注射と痛みに大きな差はありませんので、安心してお任せください。
4. おすすめの接種時期と「免疫がつくまでの期間」
これからの時期に本格化するインフルエンザや新型コロナウイルスのワクチンについて、いつ打つべきか、迷われる方も多いと思います。
・免疫が確立するまでの目安:
どちらのワクチンも、接種すればその瞬間からバリアが張られるわけではありません。体内で十分な抗体が作られ、防御体制が整うまでに約2週間かかります。
・おすすめの接種時期:
例年、インフルエンザや新型コロナウイルスは冬にかけて流行のピークを迎えます。そのため、流行が本格化する前の10月下旬から12月初旬頃までに接種を完了させておくことが、最も効果的で理想的なスケジュールとなります。
5. インフルエンザワクチンの「複数回接種」の妥当性について
「インフルエンザワクチンは、何回受けるのが正しいの?」というご質問もよくいただきます。年齢やこれまでの免疫のつき方によって、医学的な妥当性に基づき回数が異なります。
・13歳以上の方(大人):
基本的には「1シーズンに1回(単回接種)」が原則です。過去の感染やこれまでの接種によって基礎免疫がすでに備わっているため、1回の接種で十分に免疫をブースト(増強)させることができます。
・13歳未満のお子様、および一部の免疫が未熟な方:
「2回接種」が推奨されています。お子様は大人に比べてインフルエンザに対する免疫が未熟であるため、1回だけでは十分な抗体価が得られにくいことが分かっています。そのため、2〜4週間(できれば約2〜4週間)の間隔を空けて2回接種を行うことで、しっかりと確実な免疫を体に定着させることができます。
6. 豊﨑医院からのお願い:複数の「同時接種」について
時折、「インフルエンザとコロナ、あるいは他のワクチンを同時にまとめて打てますか?」とご相談を受けることがあります。
総合病院などでは同時接種が行われることもありますが、豊﨑医院では、複数のワクチンの同時接種は原則として推奨しておりません。
その理由は、「副反応(発熱や腫れなど)が起きた際、どちらのワクチンによるものか分からなくなってしまうこと」、そして「患者さんのお体(免疫や体調)への負担を慎重に見極めたいこと」からです。
そのため当院では、お体に無理なく確実な免疫をつけていただくために、基本的には2週間以上の間隔を空けてスケジュールを組むようご案内しております。急ぐあまりにお体に負担をかけては本末転倒ですので、ご自身のライフスタイルや接種歴に合わせて、余裕を持った計画を一緒に立てていきましょう。
おわりに
予防接種は、ご自身だけでなく、ご家族や周囲の大切な方々を守る優しさでもあります。
「今の体調で打っても大丈夫かな?」「今年は自分や子供は何回打つべき?」など、迷うことがありましたら、いつでもお気軽に当院の医師やスタッフにご相談ください。元住吉の地で皆様の健康をしっかりとサポートしてまいります。
